パパ書評

パパ書評:AI vs. 教科書が読めない子どもたち

こんにちは。かもごろう(@kamogoro123)です。

近頃、何でもかんでもインターネットですよね。
仕事でも、趣味でも、もちろん育児でも、ネットがないと始まらない。
なんか、本でもテレビでも、AIとかなんとか言ってるし、
機械が人間より賢くなってるんじゃないの?
今でもこうなんだから、我が子が大きくなるころには、
いったいどうなっているんだろう・・・

今回は、アラフォー・パパの目線から次の本をレビューして、
AIのこと、それから子どもがAI時代を生き抜くことについて書きます。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
著者:新井紀子
出版社:光東洋経済新報社

AI vs. 教科書が読めない子どもたち [ 新井 紀子 ]

価格:1,620円
(2018/5/5 18:28時点)

こんな方々へ・・・
・AIって何?人間より賢いの?という方
・将来、うちの子は食いっぱぐれないだろうかと心配な方

機械が人間の仕事を奪う?

AIは万能ではないし、人間を支配するようにはならない

テレビや映画、小説なんかで、時々、こんなお話があります。

コンピューターが人間以上の知性を
もつようになり、最終的には人間を支配する。
そして人間はそれに抵抗するために立ち上がったのだ。
勝つのはロボットか、人間か、果たして・・・・

みたいな。

さて、これ、現実に起こり得るのでしょうか?

コンピューターが人間を超え、人間が機械を操作するのではなく、
機械が人間を操作する時代はやってくるのでしょうか?

どうでしょう?
心の中では「そんな訳ないじゃん」と思いながらも、
「いや、ひょっとしたら、あり得るかも・・・だって、なんかAIってすごいんでしょ?」
って思っているお父ちゃんも、いるかも知れませんね。

例えば、コンピューターが囲碁の名人と対戦して勝った、っていうニュースが
流れてきたりすると、「コンピュータはどんどん進歩してるんだから、
人間を超える日も近いんじゃないの?」と思ってしまいます。

でも、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の著者は、
「そんなことはない」と断言します。
その根拠は、後でちょっと触れます。

AIは神に代わって人類にユートピアをもたらすことはないし、その一部が人智を超えて人類を滅ぼしたりすることもありません、当面は。当面と言うのは、少なくともこの本を手に取ってくださったみなさんや、みなさんのお子さんの世代の方々の目の黒いうちにはということですが、AIやAIを搭載したロボットが人間の仕事をすべて肩代わりするという未来はやって来ません。

著者の新井教授は数学が専門で、人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」
プロジェクトディレクタを務められた方。
いわばAIのプロ中のプロですね。
「東ロボくん」というロボットを開発し、「東大入試への合格を目指す」
というチャレンジは、僕もニュースで聞いたことがありました。

新井教授の詳しい経歴は、リサーチマップをご覧ください。

さて、「伝統と科学だったら科学を信じろ」っていう僕の基本方針に従うと、
そんな専門家が断言するんですから、「AI、恐るるに足らず!人間様は素晴らしい!」
と喝采してもよさそうなところですが、
その期待(願望?)はあっさりと、ひっくり返されます。

AIは人間の仕事の大半を奪う。

著者は、AIが人間を支配することはないけれど、
先に紹介した「東ロボくん」のチャレンジを経験した結果、
人間の仕事の多くはAIができてしまう、といいます。

AIが人間の仕事をすべて奪ってしまうような未来は来ませんが、人間の仕事の多くがAIに代替される社会はすぐそこに迫っています。つまり、AIは神や征服者にはならないけれど、人間の強力なライバルになる実力は、十分に培ってきているのです。

ただし、似たようなことは、人類史上これまで何度もありました。
機械や技術が発明されたら、それまで人力で行っていた仕事がなくなってしまう。
例えば、鉄道や車のせいで、手紙を届けるための飛脚という職がなくなりました。
そして、メールの普及で、そもそも「手紙を届ける」という仕事が
どんどん縮小しています。

また、こういう「コンピューターによって、半数近い仕事がなくなる」というのも
新しい見方ではなく、例えば2014年に、
『オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」』
なんて記事が出ています。

問題は、インターネットの発達と社会のグローバル化によって、
「人間の仕事が奪われる」規模とスピードが段違いにすごい、ということです。

んー、こりゃあ大変だ。

自分や我が子がAIに勝つために

AIが得意なこと

さて、どうやらAIは人間の敵ではないかも知れないけど、
「競争相手」ではあるらしい。
ならば、勝つためには、相手の特徴を分析しましょう。

AIといっても、要はコンピューターです。
コンピューターというのは計算機。
そして、計算機というのは数学で動いている。
もっというと、究極的には足し算と掛け算です。

画像認識も、音声認識も、ぜーんぶデータの足し算。
これは、スーパーコンピューターであろうと原理は変わりません。
数学の枠組みからは抜け出ません。

そして、数学の枠組みでできることは、すでに人間を凌駕しています。
無限の記憶(記録)能力と、圧倒的な計算能力で、
「過去の膨大なデータを検索して、それっぽい回答を返す」
Siriとか、Google検索とか、まさにそんな感じですね。
「過去のデータに基づいて、融資して焦げ付く危険性が高いか低いかを判断する」
なんてことは、人間は太刀打ちできません。

AIが苦手なこと

じゃあ逆に、AIが苦手なことはなにか。数学でできないことは何か。
それは「意味を理解する」ことだと、筆者は言います。

「太郎は花子が好きだ」という文は、まさにそのとおりの意味で、何か他のものに還元することはできません。「花子は太郎に好かれている」と受け身に変換したり、「Taro loves Hanako」と英語に翻訳できたりしたからと言って、意味を理解していることにはなりません。

どれだけ計算が早かろうが、画像を認識しようが、声を認識しようが、
AIは意味を理解できません。数学には意味を記述できる枠組みが無いから。
だから、AIは人間を超えられないのです。
ロボットが感情を持つことはできないのです。

「1+1=2」は数学の考え方で表現できるけど、
「2+2=”好き”」だったり、「3-1=”微妙な関係”」だったりしない。
昔、キン肉マンに「息の合ったコンビだと、1+1が2以上になるんだ!」みたいな
セリフがあったような気がしますが、数学の枠組みだと、
この絶妙のコンビネーションを理解できません。

夕日が柔らかに差し込む教室で、幼馴染の女子が目をそらしながら言う「・・・ばか」と、
仕事で大失敗したとき、女性の上司が冷たい目で言い放つ「・・・ばか」は、
同じ「ばか」でも、全く意味が異なります。
僕たちはその違いを理解できます。

AIが苦手な「意味」の分野で勝負する

つまり、われわれ人間は、「意味を読み解いて理解する」という、
AIには苦手で、人間が得意なことで、勝負すればいいんだ!ということになりますね。

しかし、ここでも著者は警鐘を鳴らします。

AIにできない仕事は、多くの人にとって簡単にできる仕事でしょうか。

子どもの読解力が低い!

リーディングスキルテストの結果から

この記事でも何度か書きましたが、筆者は「東ロボくん」という
ロボットを作って、東大入試にチャレンジするというプロジェクトを推進していました。
結果だけ簡単に書くと、東大は無理だろう、ということなんですが、
2016年のテストで、日本の大学の大部分に合格できる実力を備えるに至りました。
これはすごい成果です。

ですが、筆者はこのプロジェクトを通じて、逆に、
「むしろ中高生が教科書の内容を理解できていないのではないか」と疑問を持ち、
「リーディングスキルテスト」なるものを開発し、読解力を測定しました。

で、その結果は、大半の中高生は、読解力が低くてテストの問題文の
意味を理解できていない、ということが分かりました。

上でも書きましたが、AIは文章の意味を理解できないので、読解問題は苦手です。
単純に語彙力とか、そういう問題で点数を稼ぐのが基本戦略。
ところが、中高生も同様に、読解問題が解けていないのです。

ちなみに、筆者によると、中高生だけでなく、同じテストを受けた
もちろん大人も読解ができていないそうです。
なので、「最近の若いもんは・・・」とか言わないようにしましょうね。

ともかく、AIが苦手な分野で勝負するはずが、
我々大人も含めて、全然勝負できていないことが分かったのです。
書いてあることを理解できていない。これが人間の武器になるところなのに・・・
うーん、これじゃあAIに負けてしまう。

読解力を身に着けるには

となると、お父ちゃんにとって気になるのは
「じゃあ、読解力を見つけるのはどうするんだよ」
ということですよね。
僕も気になります。

たくさん勉強すれば読解力があがるのかな?とか、
スマホの使用時間を少なくすれば何とかなるんじゃ・・・とか
思いますよね。

ところが、著者の調査では、家での勉強時間や、
スマホの使用時間も、関係がなかったそうです。

筆者の本職は数学者なので、科学者の良心に従ってのことだと思いますが、
簡単な処方箋は出しません。
ただ、「中学生のうちに、中学校の教科書を理解させる教育が必要」という
目標を設定します。この目標をどうやったら達成できるか。

一つ、埼玉県戸田市の取り組みが紹介されています。
戸田市では、学校の先生もリーディングスキルテストを受けたりして、
どうやったら子どもの読解力が上がるか、
ひたすら議論し、研究し、話し合うという
非常に地味な努力を重ねました。
結果、テストのスコアが急上昇したそうです。

家庭でできることは何なのか。
僕としては、子どもと一緒になって、
本なり、絵なりを一緒にみて、内容を話し合ったり、指摘しあったり、
そういう読解をじっくりコツコツしていきたいなと思っています。

まとめ

どうやら、AIが人間を支配することはなさそうです。
でも、AI時代を生きていくためには、読解力が必要だということが分かりました。
そして、読解力が上げるには、地味な取り組みが大事みたいです。

ということで、お父ちゃん、お互い頑張りましょう!

 

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
著者:新井紀子
出版社:光東洋経済新報社

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